問題 10★★☆

通信販売会社が、購入者向けの配送状況アプリを2週間ごとに改良している。各部署から 30件の要望が届いたが、問合せ窓口の集計では、問合せの6割が「配達日時を変えたい」という 内容だった。価値駆動の考え方に最も沿う進め方はどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア短い期間で片付く要望から順に着手し、2週間ごとに完了した要望の件数を増やしていく。

    誤り。これは作業量や完了件数を成果とみなす進め方です。件数が増えるので進んで いるように見えますが、購入者の困りごとが減るとは限りません。価値駆動は 「どれだけ作ったか」ではなく「どれだけ価値を届けたか」で順番を決めます。

  2. イ30件の要望をすべて作り終えて動作を確かめてから、改良版をまとめて一度に公開する。

    誤り。これは計画した範囲を作り切ってから届ける一括型の進め方です。抜け漏れが なく丁寧に見えますが、最も困っている購入者は全件そろうまで待たされます。 アジャイルの原則は「価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供」することです。

  3. ウ公平を期すため、要望が届いた順番に着手し、各部署の要望を一件ずつ順に反映していく。

    誤り。届いた順は手続きとして公平ですが、利用者にとっての価値とは無関係です。 問合せの6割を占める困りごとが後回しになる可能性があります。順番の根拠を 部署間の公平さに置くか、利用者の価値に置くかが分かれ目です。

  4. エ配達日時の変更機能のように、購入者にとって価値の大きい要望から並べ、使える形で順に届ける。

    正解。価値駆動は、利用者にとっての価値が大きいものから優先して取り組み、 早く届けることです。問合せの集計という事実を根拠に順番を決めており、 「価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供」という原則にも沿っています。

理解を深めるために

「たくさん作る」より「効くものから届ける」

引っ越し直後の部屋で、まず開ける段ボールは「すぐ使うもの」の箱です。 番号順に開けたり、軽い箱から開けたりはしません。今夜困らないために必要なものを 先に出します。価値駆動も同じで、使う人にとって効き目の大きいものから手を付けます。

なぜ価値で順番を決めるのか

  • 短い周期で少しずつ届けるなら、最初の数回に何を入れるかで得られる価値が大きく変わる
  • 要望は途中で増えたり変わったりするので、最後まで作り切る前提は崩れやすい
  • アジャイルの原則の最初の項目が「顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを 早く継続的に提供します」である

この問題では、問合せの6割という事実が「どれが一番効くか」の手がかりになっています。

選択肢の進め方を並べると

進め方 順番を決めている基準
価値の大きい要望から順に届ける 利用者にとっての価値(価値駆動)
片付けやすい要望から件数を稼ぐ 作業の手軽さ・完了件数
全件作り終えてから一度に公開 計画した範囲を作り切ること
届いた順に一件ずつ反映 受付の順番・部署間の公平さ

「進んでいるように見える」「公平に見える」進め方が誤答に置かれやすいです。 順番の根拠が利用者の価値になっているかを確かめると見分けられます。

前の問題へ次の問題へ