問題 19★★☆

税理士事務所のGさんは、顧客企業から伝票を預かって記帳する業務を長年担当している。 近年はクラウド会計サービスが広まり、顧客が自ら入力したデータを確認・助言する仕事へ 需要が移りつつあるが、Gさんの今の担当業務にまだ支障は出ていない。Gさんの行動として、 変化への適応の考え方に最も沿うものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア今の記帳業務に支障は出ていないので、仕事の内容が実際に変わってから必要な知識を覚えることにする。

    誤り。困ってから動く後追いの姿勢です。需要が移るという変化はすでに起きており、 仕事が変わった時点では、身につけるための時間が残っていません。変化を受け入れて 適応するとは、影響が自分に及ぶ前から備えを始めることです。

  2. イクラウド会計は入力の誤りが増えると考え、顧客には従来どおり伝票を預ける方法を続けるよう勧める。

    誤り。新しいやり方の弱点だけを理由に、変化そのものを退けています。入力の誤りは 確認の仕方で減らせる課題であり、変化を拒む根拠にはなりません。既存のやり方を守ること自体が 目的になり、環境の変化に応じた新しい行動様式が身につきません。

  3. ウクラウド会計サービスを自分でも操作して仕組みを理解し、入力内容を確認・助言する仕事に必要な知識を今から身につける。

    正解。「環境や仕事・働き方の変化を受け入れ、適応するために自ら主体的に学んでいる」 という行動例に対応します。まだ困っていない段階で、変化の兆しを自分の仕事の話として 受け止め、自ら手を動かして学び始めている点が要点です。

  4. エ事務所がクラウド会計の研修を用意するのを待ち、案内があった時点で受講して新しい業務に移る。

    誤り。学ぶきっかけを組織任せにしています。研修を受けること自体は有益ですが、 用意されるまで何もしないのは受け身の姿勢です。行動例が求めているのは「自ら主体的に」 学ぶことであり、与えられた機会を待つ姿勢とは区別されます。

理解を深めるために

学び始める時期が、この問題の論点

傘を買うのは、雨が降ってからでは遅い。空が曇り始めた時点で用意しておくから、 濡れずに済みます。仕事の変化も同じで、自分の担当がなくなってから学び始めると、 学んでいる間の居場所がありません。

この場面のGさんは「まだ支障が出ていない」状態です。だからこそ、 今は動かなくてよい理由をいくらでも作れてしまいます。

この項目が求めている行動

シラバスの行動例は次の2つです。

環境や仕事・働き方の変化を受け入れ,適応するために自ら主体的に学んでいる。

自身や組織がもつ既存の価値観の尊重すべき点を認識しつつ,環境変化に応じた 新たな価値観,行動様式,知識,スキルを身につけている。

この問題が問うているのは前者です。判断のポイントは2つあります。

  • きっかけが自分の側にあるか。研修の案内や業務命令を待っていないか
  • 変化を受け入れているか。新しいやり方の弱点を並べて退けていないか

選択肢の行動を並べると

行動 何が足りないか
自分で操作して学び、必要な知識を今から身につける 不足なし(行動例に合致)
仕事が変わってから覚える 学び始めが遅く、適応が間に合わない
従来の方法を続けるよう顧客に勧める 変化を受け入れていない
事務所の研修を待って受講する 学ぶきっかけが自分の側にない

誤答は「後回し」「拒否」「待ち」の3つです。この分野の問題は、行動の中身だけでなく 誰が動き出しているか、いつ動き出しているかを見ると判別しやすくなります。

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