正解:エ
各選択肢の解説
ア開発の用語に慣れるまでは会議の議事録作成を担当してもらい、慣れた後で設計の議論に加わってもらう。
誤り。開発の用語を知っていることを、議論に加わる条件にしています。Iさんが持つのは 顧客の困り方についての知識であり、用語を覚えるまで待つ必要はありません。 協働の相手を「まだ一人前ではない人」として扱っている点が行動例と合いません。
イ開発の知識がある担当者だけで設計を決め、Iさんには決まった内容をコールセンターへ伝える役を頼む。
誤り。同じ専門性の人だけで決め、それ以外の人を連絡役に置いています。 多様性の尊重とは、異なる専門性を決める場に入れることです。伝達役を担わせるだけでは、 応対の経験がアプリの設計に反映されません。
ウ応対の経験は参考になるので、問合せの多い項目の一覧を出してもらい、設計そのものは開発担当だけで進める。
誤り。相手の知見を、材料の提供だけに切り縮めています。一覧からは件数は分かっても、 利用者がどこで言葉に詰まるかまでは伝わりません。持ち寄る相手として扱うのか、 資料の提出元として扱うのかで、協働かどうかが分かれます。
エ応対で蓄えた顧客のつまずき方の知識を一つの専門性として扱い、設計の検討に開発担当と対等に加わってもらう。
正解。「様々な専門性をもった人と社内・社外問わずに協働することが重要であることを 理解し、多様性を尊重している」という行動例に対応します。専門性は技術の知識だけで はなく、顧客と接してきた経験も一つの専門性だと捉えている点が要点です。
理解を深めるために
専門性は、技術の知識だけではない
病院の待合室の案内表示を作り直すとき、いちばん詳しいのはデザイナーでも 医師でもなく、毎日「トイレはどこですか」と聞かれている受付の人だったりします。 どこで人が迷うかを、体で知っているからです。
Iさんが持っているのはこの種の知識です。10年分の応対の中に、 利用者がどの言葉で詰まり、どの画面で電話をかけてくるかが蓄えられています。
この項目が求めている行動
シラバスの行動例は次の1つです。
価値創造のためには,様々な専門性をもった人と社内・社外問わずに協働することが 重要であることを理解し,多様性を尊重している。
この場面で読み取るべき点は2つです。
- 専門性を広く捉える。開発の知識がないことは、専門性がないことではない
- 決める場に入れる。材料を出す役、伝える役に置くのは協働ではない
選択肢の行動を並べると
| 行動 | 何が足りないか |
|---|---|
| 一つの専門性として扱い、設計の検討に対等に加わってもらう | 不足なし(行動例に合致) |
| 用語に慣れるまで議事録を担当してもらう | 議論に加わる条件を後付けしている |
| 開発担当だけで決め、伝達役を頼む | 異なる専門性が決める場にいない |
| 問合せ項目の一覧だけ出してもらう | 材料の提供に切り縮めている |
誤答は「待たせる」「伝えさせる」「出させる」です。その人が決める場にいるかを 見ると、形だけの参加と協働とを見分けられます。