問題 36★★☆

販売管理システムの開発が終盤に入ったところで、取引先の都合により 請求の締め日の扱いを変える必要が生じた。アジャイル開発の原則に沿った 対応として最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア終盤の手戻りは大きいため、当初の要求どおりに作り切り、締め日の変更は次回の開発で扱う。

    誤り。計画を守ることを優先し、実際の業務に合わないものを作り上げる対応です。 使われない機能を完成させても価値は生まれません。アジャイルでは、後期であっても 変更を受け入れ、利用者にとって意味のあるものを届けることを重く見ます。

  2. イ変更の必要性を確かめたうえで要求の優先順位を見直し、今の周期の計画に組み入れて対応する。

    正解。原則では、開発の後期であっても要求の変更を歓迎するとされています。歓迎するとは 無条件に受けることではなく、優先順位を見直して取り込むことです。 短い周期で区切っているからこそ、この組み替えができます。

  3. ウ持ち込まれた変更はすべてその場で引き受け、優先順位は変えないまま作業量だけを増やして対応する。

    誤り。変化を歓迎することを「何でも無条件に足す」と取り違えた対応です。優先順位を 見直さずに量だけ増やせば、周期は守れず品質も落ちます。歓迎するとは、 何を後回しにするかまで決め直すことです。

  4. エ終盤の変更は混乱のもとであるため、変更の申請に必要な承認の段階を増やして持ち込みにくくする。

    誤り。手続きを重くして変更そのものを抑え込む対応です。変更が表に出てこなくなるだけで、 業務との食い違いは残ります。アジャイルでは、変更を止めるのではなく、 受け止められる進め方を整えるほうを選びます。

理解を深めるために

「もう遅い」と言わずに済む作り方をする

長い航海の途中で天候が変わったとき、出発前の航路にこだわって進む船はありません。 アジャイル開発では、変更が遅れて出てくること自体を織り込んで進め方を組むため、 後期の変更も「事故」ではなく想定内の出来事として扱います。

原則が言っていること

アジャイルソフトウェア開発宣言の背後にある12の原則の2番目は、 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎する、変化を味方につけることで 顧客の競争力を引き上げる、という趣旨の項目です。宣言そのものにも 「計画に従うこと」より「変化への対応」に価値を置く、という一文があります。

ただし歓迎するとは、持ち込まれた変更をすべて無条件に足すことではありません。

  • 変更が本当に必要かを確かめる
  • 優先順位を見直し、何を後回しにするかまで決める
  • 周期の計画に組み入れ、期間や品質のほうは崩さない

対応のしかたを並べると

対応 何が起きるか
優先順位を見直して取り込む 業務に合うものが届く。順序の判断が残る
当初計画どおり作り切る 使われないものが完成する
優先順位を変えず量だけ増やす 周期が守れず、品質が落ちる
手続きを重くして抑え込む 変更が表に出ないだけで食い違いは残る

試験では「変化を歓迎する」の解釈が問われます。 無条件に受けるのでも、締め出すのでもない中間が正解になります。

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