正解:イ
各選択肢の解説
ア終盤の手戻りは大きいため、当初の要求どおりに作り切り、締め日の変更は次回の開発で扱う。
誤り。計画を守ることを優先し、実際の業務に合わないものを作り上げる対応です。 使われない機能を完成させても価値は生まれません。アジャイルでは、後期であっても 変更を受け入れ、利用者にとって意味のあるものを届けることを重く見ます。
イ変更の必要性を確かめたうえで要求の優先順位を見直し、今の周期の計画に組み入れて対応する。
正解。原則では、開発の後期であっても要求の変更を歓迎するとされています。歓迎するとは 無条件に受けることではなく、優先順位を見直して取り込むことです。 短い周期で区切っているからこそ、この組み替えができます。
ウ持ち込まれた変更はすべてその場で引き受け、優先順位は変えないまま作業量だけを増やして対応する。
誤り。変化を歓迎することを「何でも無条件に足す」と取り違えた対応です。優先順位を 見直さずに量だけ増やせば、周期は守れず品質も落ちます。歓迎するとは、 何を後回しにするかまで決め直すことです。
エ終盤の変更は混乱のもとであるため、変更の申請に必要な承認の段階を増やして持ち込みにくくする。
誤り。手続きを重くして変更そのものを抑え込む対応です。変更が表に出てこなくなるだけで、 業務との食い違いは残ります。アジャイルでは、変更を止めるのではなく、 受け止められる進め方を整えるほうを選びます。
理解を深めるために
「もう遅い」と言わずに済む作り方をする
長い航海の途中で天候が変わったとき、出発前の航路にこだわって進む船はありません。 アジャイル開発では、変更が遅れて出てくること自体を織り込んで進め方を組むため、 後期の変更も「事故」ではなく想定内の出来事として扱います。
原則が言っていること
アジャイルソフトウェア開発宣言の背後にある12の原則の2番目は、 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎する、変化を味方につけることで 顧客の競争力を引き上げる、という趣旨の項目です。宣言そのものにも 「計画に従うこと」より「変化への対応」に価値を置く、という一文があります。
ただし歓迎するとは、持ち込まれた変更をすべて無条件に足すことではありません。
- 変更が本当に必要かを確かめる
- 優先順位を見直し、何を後回しにするかまで決める
- 周期の計画に組み入れ、期間や品質のほうは崩さない
対応のしかたを並べると
| 対応 | 何が起きるか |
|---|---|
| 優先順位を見直して取り込む | 業務に合うものが届く。順序の判断が残る |
| 当初計画どおり作り切る | 使われないものが完成する |
| 優先順位を変えず量だけ増やす | 周期が守れず、品質が落ちる |
| 手続きを重くして抑え込む | 変更が表に出ないだけで食い違いは残る |
試験では「変化を歓迎する」の解釈が問われます。 無条件に受けるのでも、締め出すのでもない中間が正解になります。