正解:ア
各選択肢の解説
ア1回のスプリントで引き受ける作業量を実績に合わせて減らし、無理なく続けられるペースに戻す。
正解。原則では、一定のペースを継続的に維持できるようにすべきとされています。 残業で量を守るのではなく、周期あたりに引き受ける量のほうを実績に合わせるのが 本来の調整です。ペースが安定すると見通しの精度も上がります。
イ残業が続いているのは一時的なものと考え、区切りのよい時期が来るまで今の作業量を維持する。
誤り。持続可能なペースの考え方と反対の対応です。数か月続いている時点で一時的とは言えず、 確認の漏れという形で品質にも表れています。我慢で乗り切る前提の計画は、 アジャイルでは立て直しの対象になります。
ウ開発に充てる時間を確保するため、ふりかえりや進み具合を確かめる場を当面は省くことにする。
誤り。進め方を見直す場を削る対応で、負荷が続いている原因に手が付かなくなります。 忙しいときほど、引き受ける量が実力に合っているかを確かめる必要があります。 削る対象を間違えている典型です。
エ期日を守ることを最優先とし、動作を確かめる工程を軽くして、見つかった不具合は後でまとめて直す。
誤り。期日を守るために品質のほうを削る対応です。後でまとめて直す作業は次の周期を圧迫し、 残業がさらに増えます。原則では技術的な水準を保ち続けることが機敏さを高めるとされており、 逆向きの対応です。
理解を深めるために
全力疾走ではなく、同じ速さで走り続ける
マラソンで最初の5キロを全力で走れば、残りは歩くことになります。 アジャイル開発は短距離走の連続ではなく長距離走なので、 何周期でも同じ調子で続けられる速さを保つことが前提になっています。
原則が言っていること
アジャイルソフトウェア開発宣言の背後にある12の原則の8番目は、 アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進する、 一定のペースを継続的に維持できるようにしなければならない、という趣旨の項目です。 また9番目には、技術的卓越性と優れた設計への注意が機敏さを高める、とあります。
無理を続けたときに何が起きるかを考えると、理由が分かります。
- 疲れから確認の漏れが増え、後で直す作業が次の周期を圧迫する
- 残業前提の実績になるため、1周期で進める量の見当が狂う
- ふりかえりを省くと、量が合っていないことに気づけなくなる
調整の対象を並べると
| 対応 | 何を削っているか |
|---|---|
| 引き受ける作業量を実績に合わせる | 1周期で扱う量。ペースは保たれる |
| 残業で今の量を維持する | 働く人の余力 |
| ふりかえりの場を省く | 進め方を見直す機会 |
| 確認の工程を軽くする | 品質。後の周期に負債として残る |
スプリントでは期間を固定するため、調整できるのは作業量です。 量以外のものを削る選択肢は、原則に照らすと外れます。