問題 9★★★

部品メーカーのC社が扱う製品は、業界で仕様がほぼ標準化し、各社の製品の違いが小さくなった。 そこでC社は、製造工程を見直して不良率と製造コストを大きく下げ、価格で勝負することにした。 C社が目指すイノベーションとして最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. アプロセスイノベーション

    正解。製品の仕様は変えずに、作り方を革新して品質とコストを改善しています。 製品の形が定まった成熟期ほど、差をつける場所が工程に移るため、この種の革新が重視されます。

  2. イプロダクトイノベーション

    誤り。これは新しい機能や性能をもつ製品そのものを生み出す革新です。 「イノベーション=新製品」と考えると選びがちですが、C社は仕様が標準化した製品を そのまま作り続けており、製品の中身は変えていません。

  3. ウオープンイノベーション

    誤り。これは社外の技術やアイデアを取り込んだり、自社の技術を社外に出したりして 革新を進める進め方です。C社の取組みには大学や他社と組む記述がなく、 自社の工程を自ら見直しているだけなので当てはまりません。

  4. エリーンスタートアップ

    誤り。これは最小限の製品を早く市場に出し、顧客の反応から学んで作り直す 新規事業の進め方です。「改善を重ねる」点が似ていますが、C社は顧客の反応を 確かめているのではなく、既に売れている製品の製造工程を磨いています。

理解を深めるために

製品の形が決まると、勝負は「作り方」に移る

新しい製品が生まれたばかりの頃は、各社がさまざまな形や機能を試します。 やがて「この形が標準」というものが定まると、製品の見た目や機能では差がつきにくくなり、 同じ物をいかに安く、不良なく作るかの競争に変わります。C社はまさにこの段階にいます。

産業の成熟とイノベーションの重心

アバナシーとアッターバックは、産業の発展に伴って重視されるイノベーションが 移り変わることを示しました。

  • 初期 — 製品の形が定まらず、プロダクトイノベーションが盛んに起こる
  • 標準的な設計(ドミナントデザイン)が定まった後 — 製品の差が縮まり、プロセスイノベーションの比重が高まる
  • 成熟した後 — どちらの革新も起こりにくくなり、効率化の競争が中心になる

問題文の「仕様がほぼ標準化」「価格で勝負」は、工程側の革新に重心が移ったことを示す手がかりです。

混同しやすいものとの違い

用語 中身
プロセスイノベーション 作り方・届け方を革新する(製品は同じ)
プロダクトイノベーション 製品そのものを新しくする
オープンイノベーション 社外の資源を活用して革新を進める進め方
リーンスタートアップ 最小限の製品で顧客の反応を確かめ、学びながら事業を作る

試験では、製品の中身が変わっているかどうかをまず見ます。 変わっていなければ、工程や提供方法の革新を疑うのが近道です。

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