正解:ウ
各選択肢の解説
ア他社にない技術の新規性
誤り。F社は世界初の技術を開発しており、新規性は十分に備えていました。 「イノベーション=技術革新」と捉えると選びがちですが、 新しい技術があること自体は、イノベーションが成り立つための条件の一部にすぎません。
イ特許による知的財産の保護
誤り。F社は特許を取得しています。特許は、生み出した技術を他社にまねされないよう 守る手段です。守りを固めても、その技術を必要とする顧客がいなければ 売上にはつながらないので、今回の失敗の原因ではありません。
ウ顧客や社会にとっての価値創出
正解。イノベーションは新しい技術そのものではなく、それによって顧客や社会に 価値を生み出して初めて成り立ちます。F社は顧客の困りごとを確かめず、価値を生めていません。
エ死の谷を越えるための事業化資金
誤り。死の谷は、試作から事業化に進むための資金や体制が付かない壁です。 F社は資金を集めて量産と発売まで進んでいるので、この谷は越えています。 つまずいたのは、発売した製品が顧客に選ばれなかった点です。
理解を深めるために
発明とイノベーションは違う
どれほど優れた技術でも、使う人がいなければ世の中は何も変わりません。 新しい技術を生むことが「発明」なら、それを顧客や社会の役に立つ形にして 価値を生み出すところまで届けるのが「イノベーション」です。F社は発明には成功しましたが、 イノベーションには至りませんでした。
イノベーションの中心にあるのは価値
イノベーションの国際規格であるISO 56000シリーズでも、イノベーションを 「価値を実現する、新しい又は変化したもの」という趣旨で定義しています。 技術の新しさは手段であり、目的は価値の創出です。
- 顧客が抱える課題や、まだ満たされていない要望を見つける
- 技術やアイデアを、その課題を解決する製品・サービスや仕組みに結び付ける
- 顧客に選ばれ、使われることで価値が実現する
F社は一つ目を飛ばしたため、技術・特許・資金がそろっていても売れませんでした。
混同しやすいものとの違い
| 観点 | 役割 | F社の状況 |
|---|---|---|
| 価値創出 | 顧客や社会の役に立つ価値を生む | 欠けていた |
| 技術の新規性 | 他社にない新しさをもつ | 備えていた |
| 知的財産の保護 | 技術をまねされないよう守る | 備えていた |
| 死の谷の克服 | 事業化に必要な資金・体制を得る | 越えていた |
試験では、問題文に書かれた「できていること」を一つずつ消していくと、 残った欠落がそのまま答えになります。