問題 16★★☆

精密加工の技術を多く持つF社では、研究開発の成果が製品や利益に結びつかない状態が 続いていた。そこで、技術を経営資源ととらえ、どの技術に投資し、どう事業化して 利益を生むかを経営の視点で判断する取組を始めた。この取組の考え方はどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. アオープンイノベーション

    誤り。これは自社の中だけで開発を抱え込まず、大学や他社など外部の技術や アイデアを取り込んで革新を起こす考え方です。問題文に外部との連携は出てこず、 F社が見直しているのは自社の技術を経営としてどう扱うかです。

  2. イMOT(技術経営)

    正解。技術は持っているだけでは利益になりません。技術の可能性を見極めて 事業に結びつけ、経済的な価値を生むまでを経営として管理する考え方が MOT(技術経営)です。

  3. ウプロセスイノベーション

    誤り。これは製造工程や業務の進め方を新しくして、コストの削減や品質の向上を 実現することです。「イノベーション」の種類を表す言葉で、研究開発への投資から 事業化までを経営の視点で管理する考え方ではありません。

  4. エナレッジマネジメント

    誤り。これは社員が個人で持つ知識やノウハウを組織全体で共有し、活用する取組です。 目に見えない資産を経営に生かす点は似ていますが、対象は人の知識であり、 技術への投資の判断や事業化までを扱うものではありません。

理解を深めるために

「よい技術」を「儲かる事業」に変えるための経営

技術力の高い会社が、必ずしも利益を上げているとは限りません。 研究部門は優れた成果を出しているのに、それが製品にならない、 製品になっても売れない、ということはよく起こります。

MOT(Management of Technology、技術経営)は、この溝を埋めるための考え方です。 経済産業省は、技術に立脚する事業を行う企業が、技術の持つ可能性を見極めて 事業に結びつけ、経済的価値を創出していくマネジメントと説明しています。

MOTが扱うこと

技術を研究者任せにせず、経営の判断の対象にするのがポイントです。

  • どの技術に投資するか — 限られた研究開発費を、将来の事業につながる技術に配分する
  • どう事業化するか — 自社で製品にするか、他社と組むか、特許として使わせるかを決める
  • どこでつまずくかを知る — 研究から産業化までの間にある魔の川・死の谷・ダーウィンの海を見越して手を打つ

MOTは「どう管理するか」という枠組みです。その中で、外部と組む手段として オープンイノベーションを選ぶこともあります。

混同しやすいものとの違い

言葉 何を指すか
MOT(技術経営) 技術を事業と利益に結びつけるまでを経営として管理する考え方
オープンイノベーション 外部の技術やアイデアを取り込んで革新を起こす考え方
プロセスイノベーション 製造工程や業務の進め方を新しくする革新
ナレッジマネジメント 個人の知識やノウハウを組織で共有・活用する取組

問題文に「技術を経営資源として」「事業化して利益に」とあればMOTです。 外部との連携が主題ならオープンイノベーション、扱う対象が人の知識ならナレッジマネジメントと見分けます。

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