正解:ウ
各選択肢の解説
ア紙で保管してきた点検記録をスキャンして電子化し、検索できるようにした。
誤り。これは紙の情報をデジタル形式に置き換えるデジタイゼーションです。 デジタル技術を使っている点でDXと混同しやすいのですが、変わったのは 記録の保管と検索の手間だけで、会社が何を売り、どう稼ぐかは変わっていません。
イ受注から在庫の引当て、出荷指示までをシステムでつなぎ、転記作業をなくした。
誤り。これは個々の作業ではなく業務の流れ全体をデジタルでつなぐ デジタライゼーションです。電子化より範囲が広いぶんDXに見えますが、 効果は既存の事業を速く正確に回すことにとどまり、事業の形は従来のままです。
ウ農機の稼働データを使い、売切りの販売から月額の作業支援サービスへ事業と組織を改めた。
正解。データとデジタル技術を使って、機械を売る会社から継続的に価値を届ける 会社へとビジネスモデルを変え、それに合わせて組織も改めています。 事業と組織の形そのものが変わっている点がDXです。
エ全社員に最新のデジタルツールを配布し、その利用件数を全社の目標に掲げた。
誤り。これはツールの導入そのものを目的にしてしまう、DXでよくある誤解です。 新しい道具を配っても、利用件数が増えるだけで顧客への価値や事業の形は 変わりません。DXではツールは手段であり、何を変えるかが先に来ます。
理解を深めるために
道具を替えるのではなく、会社の形を替える
鉛筆をワープロに替えても、書いている中身が同じなら仕事は変わりません。 DXは「道具のデジタル化」ではなく、デジタルを前提に会社が何を提供し、どう稼ぐかを 作り変えることです。
経済産業省はデジタルガバナンス・コードなどで、DXを「データとデジタル技術を活用して、 製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、 企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と説明しています。
デジタル化には段階がある
総務省の情報通信白書では、デジタル化を次のように段階で整理しています。
- デジタイゼーション: 紙やアナログの情報をデジタル形式に置き換える
- デジタライゼーション: 業務の流れ全体をデジタルでつなぎ、プロセスを変える
- DX: 新しい価値やビジネスモデルを生み、組織や文化まで含めて変わる
設問の農機メーカーでは、点検記録の電子化も受発注のシステム連携も有益な取組みです。 しかし「農機を売って終わり」という事業の形は変わっていません。 稼働データを使って月額の作業支援サービスへ移り、組織も改めた取組みだけが、 稼ぎ方そのものを変えています。
取組みごとの「変わる範囲」
| 取組み | 変わるもの |
|---|---|
| DX | ビジネスモデル、組織、企業文化 |
| デジタイゼーション | 個々の情報の形式(紙→データ) |
| デジタライゼーション | 業務プロセス全体の流れ |
| ツール導入の目的化 | 道具と利用件数だけ(価値は変わらない) |
試験では、効果が既存事業の効率化で止まっているか、 顧客に届ける価値や事業の形まで変わっているかで見分けます。