正解:ウ
各選択肢の解説
ア製品を買って持つより、必要なときだけ借りて使えればよいと考えるようになった。
誤り。これは「所有から利用へ」という変化で、シェアリングエコノミーや サブスクリプションの広がりの背景です。持たない点は料理教室と似ていますが、 参加者は道具を借りたくて来ているのではなく、作る時間や交流そのものに対価を払っています。
イ機能に大きな差がなくなり、同じような製品なら最も安いものを選ぶようになった。
誤り。これはコモディティ化による価格重視の説明です。製品が伸び悩む理由としては ありえますが、それでは有料の料理教室に予約が集まることを説明できません。 安さではなく、お金を払ってでも得たい経験があるのが場面の要点です。
ウ製品そのものを持つことより、それを通じて得られる時間や経験に価値を感じるようになった。
正解。フライパンという「モノ」は伸びず、料理を作る時間や交流という「コト」に お金が集まっています。顧客が価値を感じる対象が、体験の側へ移っている状況です。
エ同じ用途なら、より高性能で多機能な製品に、高い代金を払うようになった。
誤り。これは製品の性能や機能に価値を置く考え方(機能価値の重視)です。 体験価値と対比される従来型の価値観で、そうであれば製品の販売数が伸びるはずです。 この場面では製品の販売が伸び悩んでおり、当てはまりません。
理解を深めるために
買っているのは道具ではなく「時間」
同じフライパンでも、店で買って家で使うのと、料理人に教わりながら仲間と作るのとでは、 得られるものがまったく違います。後者で参加者が払っているのは、道具の代金ではなく 「作る時間」「教わる経験」「人との交流」への対価です。
モノを手に入れることより、それを通じて得られる経験に価値を感じる。 これが体験価値の重視で、「モノ消費からコト消費へ」とも言われます。
なぜ体験に価値が移るのか
- 生活に必要なモノが一通りそろい、新しく持つことの満足が小さくなった
- 製品の機能や品質が横並びになり、モノそのものでは差がつきにくい
- 経験は人それぞれで比べにくく、他社にまねされにくい
- 経験はSNSなどで人に伝えやすく、それ自体が楽しみの一部になる
企業にとっては、製品を売って終わりにせず、製品を使う場面や時間まで含めて 価値を設計することが求められます。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 顧客が対価を払う対象 |
|---|---|
| 体験価値の重視(コト消費) | 製品を通じて得られる時間・経験そのもの |
| 所有から利用へ | 持たずに、必要なときだけ使える権利 |
| 価格重視(コモディティ化) | 同じような製品の中での安さ |
| 機能価値の重視 | 製品の性能や機能の高さ |
「持たない」という点では、体験価値の重視と所有から利用へは似て見えます。 見分けるときは、顧客が何にお金を払っているかを見ます。道具を使う権利なら利用、 その場で得る経験そのものなら体験価値です。