問題 33★★★

地方銀行のA行はこれまで、近隣の銀行を主な競合と見なしてきた。ところが近年、利用者の多い スマートフォン決済アプリを運営する企業が、アプリ上で送金や少額の融資などのサービスを始めている。 A行を取り巻くこの変化の説明として、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア店舗網などの従来の参入障壁がデジタル技術で低くなり、顧客との接点をもつ異業種の企業が新たな競合になっている。

    正解。店舗やATMを持たなくても、アプリで日常的に顧客とつながっている企業なら 金融サービスを届けられます。競合が同じ業界の中だけでなく、業界の外からも現れる状況です。

  2. イ地域の銀行どうしが合併して規模を大きくし、少数の大手による寡占が進んで競争の相手が減っている。

    誤り。これは同業どうしの業界再編の説明です。競争の構図が変わる点では似ていますが、 競合はあくまで同じ銀行業の中にいます。場面で起きているのは、 銀行ではない企業が入ってくるという、業界の外からの変化です。

  3. ウA行が決済や通信など銀行以外の分野へ事業を広げ、複数の業界で同時に競争するようになっている。

    誤り。これは自社が他の分野へ進出する多角化の説明で、動きの向きが逆です。 場面では、A行が外へ出ていくのではなく、決済アプリの企業が銀行の領域へ入ってきています。 誰が誰の領域に入ったのかで見分けます。

  4. エデジタル技術によって銀行のサービスそのものが不要になり、銀行という業界が市場から消えている。

    誤り。これは業界の構造そのものが覆されるデジタルディスラプションの、行き着いた姿の説明です。 場面は新たな競合が現れた段階で、銀行業が消えたわけではありません。 変化の入り口と、その先で起こりうる結果とを区別します。

理解を深めるために

競合は「同じ看板の会社」とは限らない

A行がこれまで意識していたのは、同じ地域で店舗を構える銀行でした。 しかし今、顧客のスマートフォンの中で毎日使われているのは決済アプリです。 そのアプリで送金や融資まで済むなら、顧客はわざわざ銀行の窓口に来なくなります。

A行にとっての新しい競合は、銀行ではない企業です。 デジタル技術の活用によって、業界の垣根が低くなり、異業種から参入が起きる。 これが競争環境の変化の典型です。

なぜ業界の垣根が低くなるのか

  • 店舗や設備を持たなくても、アプリやWebを通じて広い地域の顧客にサービスを届けられる
  • 日々の利用で集まるデータから、顧客に合わせたサービスを設計できる
  • 多くの利用者を抱えるプラットフォームの上に、新しいサービスを追加しやすい

人と人、人と企業をインターネット上で結びつける場を提供する事業者は、 デジタル・プラットフォーマーと呼ばれます。既存企業は、同業他社の動きだけでなく、 自社の顧客接点を奪いうる業界外の動きにも目を向ける必要があります。

混同しやすいものとの違い

変化 競合はどこにいるか
異業種からの参入(デジタル技術による競争環境の変化) 業界の外から入ってくる
業界再編(合併による寡占化) 同じ業界の中で数が減る
多角化 自社が他の業界へ出ていく
デジタルディスラプション 業界の構造そのものが覆される

場面を読むときは、「誰が、誰の領域に入ってきたのか」と「業界がすでに置き換わったのか、 まだ新しい競合が現れた段階か」の2点を確かめます。

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